歳をとることはそれほど怖くはなかった。歳を取ることは僕の責任ではない。誰だって歳は取る。それは仕方のないことだ。僕が怖かったのは、ある一つの時期に達成されるべき何かが達成されないままに終わってしまうことだった。それは仕方のないことではない。
それも、僕が外国に出ようと思った理由のひとつだった。日本にいると、日常にかまけているうちにそしてそうしているうちに何かが失われてしまいそうに思えた。僕は、言うなれば、本当にありありとした、手応えのある生の時間を自分の手の中に欲しかったし、それは日本にいては果たしえないことであるように感じたのだ。
- 村上春樹 『遠い太鼓』 -
2006年、5月末から12月末まで7ヶ月弱かけて、中国と東南アジアを旅した記録です。
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